空き家売却にかかる税金の種類と特例や控除、確定申告の流れについて徹底解説。
空き家売却にかかる税金の種類と特例や控除、確定申告の流れについて
空き家を相続した場合、その空き家をどうするかは多くの人にとって大きな課題です。
売却を選択する場合、特に注意が必要なのは税金です。
税金に関する知識が不十分だと、思わぬ出費や手続きの煩雑さに悩まされることになります。
本記事では、空き家を相続した方が売却を検討する際に必要な税金に関する情報、特例制度、控除の内容、そして確定申告の流れについて詳しく解説します。
1. 空き家売却にかかる税金とは?
1-1. 譲渡所得税
空き家を売却した際に発生する最も重要な税金が「譲渡所得税」です。
譲渡所得税は、不動産を売却したことで得られた利益に対して課される税金です。
譲渡所得は、売却価格から取得費用や譲渡費用を差し引いた金額で計算され、その金額に対して一定の税率が適用されます。
1-2. 住民税
譲渡所得税に加えて、住民税も課されます。
住民税の税率は一律10%とされており、譲渡所得に基づいて計算されます。
1-3. 固定資産税の清算
売却時には、固定資産税の清算が必要です。売却が行われる年の固定資産税は、通常、売主と買主の間で日割り計算され、売却時に精算されます。これにより、売却後に固定資産税を負担することがなくなります。
2. 空き家売却で適用される特例制度
2-1. 被相続人居住用財産の3000万円特別控除
空き家の売却において最も利用される特例が「被相続人居住用財産の3000万円特別控除」です。
この特例を適用することで、譲渡所得から最大3000万円が控除され、税負担が大幅に軽減されます。
2-2. 特例適用の条件
この特例を利用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
主な条件として、以下のようなものがあります。
- 被相続人が居住していたこと
- 相続開始後、一定期間内に売却が行われること
- 建物が一定の築年数以内であること
2-3. 特例適用の流れ
特例を適用するためには、確定申告の際に必要な書類を準備し、申告手続きを行う必要があります。
これにより、税務署に対して特例を適用する旨を正式に申請します。
3. 空き家売却で受けられる控除の種類
3-1. 居住用財産の3000万円特別控除
前述の通り、相続した空き家を売却する際には、3000万円特別控除が適用される場合があります。
この控除を適用することで、譲渡所得税を大幅に軽減することができます。
3-2. 長期譲渡所得の軽減税率
売却する不動産の所有期間が10年以上の場合、譲渡所得税の税率が軽減される「長期譲渡所得の軽減税率」が適用されます。
具体的には、6000万円以下の部分については14%、6000万円を超える部分については20%の税率が適用されます。
3-3. 特定の土地等の譲渡に係る特例
特定の土地や建物を譲渡する場合、一定の条件を満たすと、譲渡所得税の軽減を受けることができます。
これも、税負担を軽減するための重要な控除です。
4. 譲渡所得税の計算方法と節税対策
4-1. 譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は、以下のように計算されます。
- 譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)
- 課税譲渡所得 = 譲渡所得 – 各種控除
- 譲渡所得税 = 課税譲渡所得 × 税率
この計算式に基づいて、譲渡所得税額が決定されます。
4-2. 取得費の計算方法
取得費には、購入時の価格や購入時にかかった諸費用、リフォーム費用などが含まれます。
これらの費用を正確に把握し、計上することで譲渡所得を減少させ、税負担を軽減することができます。
4-3. 節税対策のポイント
節税対策として、取得費の正確な計上や、特例制度の活用が挙げられます。
また、売却時期を調整することで、税負担をさらに軽減できる場合もあります。
税理士に相談して、最適な節税対策を講じることが重要です。
5. 空き家売却における確定申告のポイント
5-1. 確定申告が必要なケース
空き家を売却した場合、譲渡所得が発生するため、必ず確定申告を行う必要があります。
確定申告を行わないと、特例制度や控除を適用できないため、税負担が大きくなる可能性があります。
5-2. 確定申告の手順
確定申告は、以下の手順で行います。
- 必要書類の準備: 必要な書類をすべて揃えます。
- 申告書の作成: 国税庁のサイトや税務署で申告書を作成します。
- 申告書の提出: 税務署に申告書を提出します。
- 納税: 計算された税額を納付します。
5-3. 申告期限とペナルティ
確定申告の期限は、通常、翌年の3月15日です。
この期限を過ぎると、ペナルティとして延滞税や無申告加算税が課される可能性があるため、期限内に申告を完了させることが重要です。
6. 確定申告に必要な書類一覧
確定申告には、多くの書類が必要となります。
主な必要書類は以下の通りです。
- 売買契約書の写し
- 譲渡所得の計算に必要な書類(取得費用の領収書、譲渡費用の明細など)
- 相続関係を証明する書類(戸籍謄本、遺産分割協議書など)
- 特例制度を適用するための書類(住民票の写し、建物の図面、固定資産税評価証明書など)
これらの書類は、特例制度を利用する際に必須となります。正確な書類を準備することで、特例を確実に適用できるようにしましょう。 - 譲渡所得に関する計算書
譲渡所得を計算するために必要な詳細な資料です。取得費や譲渡費用を正確に計算し、記載します。 - 納税証明書や支払い済みの税金に関する書類
以前に支払った税金に関する書類を含め、税務署に提出する必要があります。 - 銀行の振込明細書
売却代金が振り込まれた際の明細書も必要です。これにより、売却金額の証拠として提出します。
7. 空き家売却の税金対策に関するよくある質問
Q1: 空き家を売却する際に税金がかからない場合はありますか?
A: 一部の場合、譲渡所得税がかからないこともあります。
例えば、売却による譲渡所得が特別控除額以下である場合や、損失が出た場合です。
しかし、多くのケースでは税金が発生しますので、事前に税理士に相談することをおすすめします。
Q2: 空き家の売却による譲渡所得はどのように計算されますか?
A: 譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額で計算されます。
ここからさらに、特例や控除を適用することで最終的な課税所得が決まります。
計算方法は複雑なため、税理士に依頼するのが確実です。
Q3: 特例を適用するために必要な手続きは何ですか?
A: 特例を適用するためには、確定申告の際に適切な書類を提出する必要があります。
住民票や登記簿、遺産分割協議書などが必要です。
また、申告時に特例適用を希望する旨を記載し、申告期限内に手続きを完了させることが重要です。
Q4: 空き家売却に関する税務手続きで注意すべきことは何ですか?
A: 確定申告の期限を守ることが最も重要です。
期限を過ぎると、ペナルティが発生する可能性があるため、早めに準備を進めましょう。
また、税額が多額になる場合もあるため、納税資金の準備も計画的に行うことが求められます。
Q5: 空き家を売却した際の確定申告に関して、税理士に依頼した方が良いでしょうか?
A: 譲渡所得の計算や特例の適用には専門的な知識が必要なため、税理士に依頼することを強くおすすめします。
税理士に依頼することで、正確な申告と最適な税務対策が可能となります。
8. 不動産一括査定のすすめ
空き家を売却する際には、不動産一括査定を利用することが非常に有効です。
一括査定を利用することで、最も有利な条件で売却を進めることができ、税務面でも有利な選択が可能となります。
不動産一括査定のメリット
- 複数の査定結果を比較
複数の不動産会社から査定結果を受け取ることで、最高額の査定を提示してくれる不動産会社を選べます。 - 効率的な売却活動
高額での売却が期待できる不動産会社と契約することで、売却活動が効率的に進み、迅速に売却を完了させることが可能です。 - 手間を削減
複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるため、時間と労力を節約できます。
一括査定の手順
- 査定サイトにアクセス
信頼できる不動産一括査定サイトにアクセスします。 - 物件情報の入力
売却を希望する空き家の詳細な情報を入力します。
所在地や面積、築年数などの詳細情報を正確に入力しましょう。 - 複数の不動産会社に査定依頼
入力した情報を基に、一括で複数の不動産会社に査定を依頼します。 - 査定結果の比較
各不動産会社から送られてくる査定結果を比較し、最も信頼できる不動産会社を選びます。 - 最適な不動産会社の選定
査定結果と提案内容を基に、不動産会社を選び、契約を結んで売却活動を開始します。
9. まとめ
空き家を売却する際に最も重要なのは、税金に関する適切な知識と対策です。
税金対策をしっかり行うことで、売却後に手元に残る金額を最大化することができます。
特例制度や控除を活用し、確定申告を適切に行うことが、成功する空き家売却の鍵です。
また、不動産一括査定を利用することで、より有利な条件での売却が期待できるため、これも積極的に活用することをおすすめします。
この記事を参考に、空き家の売却と税務手続きをスムーズに進め、安心して不動産取引を完了させましょう。
空き家売却の基礎知識
不動産売却の流れ|6ステップで不動産売却の流れを把握
不動産売却の流れを全く知らない人でもわかるように、不動産売却の全体の流れを売主の視点で6つのステップに分けて解説。
不動産売却は、ほとんどの方が不動産売却が初めてという方が多いと思います。不動産売却の流れや知識がないまま進めることに不安になることもあるでしょう。
不動産売却は、以下のように①不動産仲介会社に売却相談・査定依頼、②売却を依頼する不動産仲介会社と媒介契約を締結、③不動産の販売活動を開始、④不動産売買契約を締結、⑤不動産物件の引渡し・決済、⑥不動産売却の確定申告の6つのステップで進んでいきます。
不動産売却の流れの全体像
不動産の売却にかかる期間は3ヶ月~6ヶ月程度です。
それぞれの5つのステップについて、解説していきます。
STEP1:不動産仲介会社に売却相談と査定依頼
不動産売買の仲介を行っている会社に売却相談と売却価格の査定の依頼をします。
関連記事:不動産売却の簡易査定と訪問査定の違いとは?失敗しないための完全ガイド
STEP2:不動産仲介会社と媒介契約を締結
不動産売買の仲介会社を選んだら、売主と不動産仲介会社との間で媒介契約を結びます。
STEP3:不動産の販売活動を開始
媒介契約締結後、不動産仲介会社が不動産の売却活動を開始します。
STEP4:不動産売買契約を締結
買主が決定したら、不動産仲介会社が「買主の住宅ローン事前審査」と「不動産の最終調査」行い、不動産売買契約を締結いたします。
STEP5:不動産物件の引渡し・決済
売買契約で定めた期日で決済と引渡しが行われます。
売主・売主側仲介業者・買主・買主側仲介業者と司法書士の五者が、買主が住宅ローンの融資を受ける金融機関に集まって契約手続きするケースが多いです。
STEP6:不動産売却の確定申告
売主は不動産売却によって得た利益にかかる税金を納付するために売主は確定申告を行う必要があります。
時期は毎年2月中旬~3月中旬までに行います。
不動産売却の流れについて詳細は以下のコラムをご覧ください。
⇒不動産売却の流れを図解|査定・契約・決済のスケジュール
不動産売却の媒介契約の種類
不動産売却を依頼する仲介会社を選んだら、売主と不動産仲介会社との間で媒介契約を結びます。
媒介契約の種類と比較
媒介契約とは、売却が成立したときの不動産仲介会社に支払う報酬額や販売活動方法を取り決める契約です。
媒介契約は①専属専任媒介契約、②専任媒介契約、③一般媒介契約の3種類あります。
売却する不動産物件やご自身の状況をもとに媒介契約の種類を選択しましょう。
以下、媒介契約の特徴をご参考にしてください。
①専属専任媒介契約
媒介契約を締結できる不動産仲介会社数…1社
買手を自分で見つけた場合の仲介手数料…必要
指定流通機構レインズの登録…義務
販売活動の報告頻度…1週間に1回以上
②専任媒介契約
媒介契約を締結できる不動産仲介会社数…1社
買手を自分で見つけた場合の仲介手数料…無
指定流通機構レインズの登録…義務
販売活動の報告頻度…2週間に1回以上
③一般媒介契約
媒介契約を締結できる不動産仲介会社数…複数可
買手を自分で見つけた場合の仲介手数料…無
指定流通機構レインズの登録…任意
販売活動の報告頻度…任意
※ポイント
①専属専任媒介契約、②専任媒介契約は販売活動を依頼する不動産仲介会社の数が1社と制限されます。
①専属専任媒介契約は買手を自分で見つけることもできますが、仲介手数料を不動産仲介会社に仲介手数料を支払う必要があり、実質的に自分で販売活動することを制限されています。
※注意点
あとからもめないように媒介契約を結ぶ際に、把握している建物の雨漏りや周辺の騒音等、売却する不動産の状況を報告書(告知書)を記入しましょう。また、建物の設備等の内容や設備の故障を明記する付帯設備表という書類に記入しましょう。
不動産売買の仲介手数料の計算式【簡易計算式】
不動産売買の仲介手数料のわかりやすく簡易計算式での計算方法を解説していきます。
①不動産売買価格400万円以上
⇒不動産売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税
②不動産売買価格200万円以上400万円未満
⇒不動産売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税
③不動産売買価格200万円未満
⇒不動産売買価格(税抜)×5%+消費税
※低廉な空き家の仲介手数料
⇒上限30万円(税抜)+消費税
※売主が宅建業者の場合は、建物の価格に消費税が掛かります。
その場合は不動産売買価格から消費税額を除いた金額を元に、不動産売買の仲介手数料を計算します。
不動産売却の流れや不動産仲介手数料の費用を把握したら、次は複数の不動産仲介会社に査定の依頼をしましょう。
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