不動産相続登記の名義変更を自分で申請する方法と注意点
不動産相続登記の名義変更を自分で申請する方法と注意点
不動産を相続した際には、相続登記の手続きが必要です。
多くの方が司法書士に依頼して手続きを行いますが、実際には自分で相続登記を行うことも可能です。
この記事では、不動産相続登記を自分で申請する方法について、必要な書類や手続きの具体的なステップを詳しく解説します。
また、手続きを進める上での注意点やコストを抑えるためのポイントも紹介します。
自分ではむずかしい・わからないと感じたら、無理なく専門家の司法書士に依頼をすることをおすすめします。
1. 不動産相続登記とは?
1-1. 相続登記の概要
不動産を相続した際には、相続登記と呼ばれる名義変更の手続きが必要です。
これは、亡くなった方(被相続人)から不動産を受け継いだ方(相続人)がその不動産の所有者であることを法的に証明するための手続きです。
1-2. 相続登記を行わないリスク
相続登記を行わないと、以下のリスクが発生します。
- 他の相続人とのトラブルが発生する可能性
相続登記をしないまま放置すると、相続人間で不動産の所有権を巡ってトラブルが発生することがあります。 - 不動産の売却や担保提供ができない
登記が完了しない限り、不動産の取引や担保にすることができません。 - 相続登記の義務化と罰則
2024年から相続登記が義務化され、登記を行わない場合には罰金が科せられる可能性があります。
2. 自分で相続登記を行うメリットとデメリット
2-1. 自分で行うメリット
- 費用を節約できる
司法書士に依頼する場合、報酬が数万円〜数十万円かかりますが、自分で行うことでこの費用を節約できます。 - 手続きを自分で把握できる
自分で手続きに挑戦することで、相続手続きを深く理解し、将来的な相続案件にも役立ちます。
2-2. 自分で行うデメリット
- 手続きに時間がかかる
書類の準備や登記申請書の作成に多くの時間を要することがあります。 - 手続きが複雑
法律用語や不動産登記の手続きがわかりにくいため、手続きの途中で混乱することがあります。 - 間違いがあると手続きが滞る
書類に不備があると、手続きが止まってしまい、再提出が必要になる場合があります。
3. 相続登記に必要な書類一覧
- 被相続人の除籍謄本(死亡の記載があるもの)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書(複数の相続人がいる場合)
- 登記事項証明書(不動産の詳細情報を確認するために必要)
- 相続人全員の印鑑証明書
4. 相続登記を自分で行う具体的な手順
4-1. 必要書類の収集
相続登記には、多くの書類が必要です。
これらの書類を役所や法務局から取得し、正確な情報をもとに申請を行います。
4-2. 登記申請書の作成
登記申請書は、法務局のホームページからダウンロード可能です。
不動産の所在地、相続人の情報、所有権移転の原因(相続)などを正確に記載します。
4-3. 法務局に申請
登記申請書と必要書類を準備したら、法務局に提出します。
法務局への申請は、直接持ち込むか郵送で行うことが可能です。
4-4. 登記完了の確認
法務局で審査が行われ、問題がなければ登記が完了します。
登記完了後は、相続人が正式な不動産の所有者となり、不動産の管理や売却が可能になります。
5. 司法書士に依頼する場合との違い
5-1. 費用の違い
司法書士に依頼する場合、数万円〜数十万円の報酬がかかります。
一方、自分で手続きを行う場合は、登録免許税や書類取得費用のみで済みます。
5-2. 時間と手間の違い
司法書士に依頼すれば、書類の準備や手続きの大部分を代行してもらえますが、自分で行う場合は全て自分で行う必要があります。
特に初めての場合は、時間と手間がかかるでしょう。
6. 相続登記を自分で行う際の注意点
6-1. 書類の不備に注意
書類に不備があると、法務局から返却され、再提出が必要になることがあります。
特に記載内容や署名・押印には注意が必要です。
6-2. 相続人間の合意を確実に
遺産分割協議が必要な場合、相続人全員の合意が必要です。
合意が得られないと、登記手続きを進めることができません。
6-3. 法務局の無料相談を活用
手続きに不安がある場合、法務局の無料相談窓口を活用するのがおすすめです。
事前に相談することで、手続きの流れや必要書類を確認し、不備を防ぐことができます。
7. 相続登記にかかる費用と節約ポイント
7-1. 登録免許税
不動産相続登記には、固定資産評価額に対して0.4%の登録免許税がかかります。
例えば、評価額が1,000万円の不動産であれば、登録免許税は4万円です。
7-2. 書類取得費用
戸籍謄本や住民票などの取得費用は、1通あたり数百円〜数千円程度かかります。
書類をまとめて取得することで、手間とコストを削減できます。
8. 相続登記の申請手順でよくある失敗例
8-1. 必要書類の不足
申請書類が揃っていないと、法務局で受理されず、手続きが遅れる原因になります。
事前にすべての書類をチェックし、漏れがないようにしましょう。
8-2. 誤った記載内容
登記申請書に誤った情報を記載すると、修正が必要になります。
特に、不動産の所在地や相続人の情報には細心の注意を払いましょう。
9. よくある質問(Q&A)
Q1:相続登記を自分で行う場合、何から始めればよいですか?
A:まずは、相続人を確定し、必要な書類を揃えることから始めます。
その後、登記申請書を作成し、法務局に提出します。
Q2:遺産分割協議が必要な場合、どうすればよいですか?
A:相続人全員で遺産分割協議を行い、合意内容を遺産分割協議書にまとめます。
合意が得られない場合は、弁護士に相談することを検討してください。
Q3:司法書士に依頼するべき状況は?
A:手続きが複雑で自信がない場合や、相続人間でトラブルが発生している場合は、司法書士に依頼することを検討するとよいでしょう。
10. 相続不動産の売却は不動産一括査定がおすすめ
相続した不動産を売却する際には、不動産一括査定サービスを利用することで、無料で簡単に複数の不動産会社から査定を受けられます。
これにより、最適な価格での売却が期待でき、スムーズな取引が可能となります。
11. まとめ
不動産相続登記を自分で行う方法について詳しく解説しました。
手続きは複雑ですが、費用を抑えたい方には自分で手続きを進めることも選択肢の一つです。
ただし、自分ではむずかしい・わからないと感じたら、無理なく専門家の司法書士に依頼をすることをおすすめします。
また、相続した不動産の売却を検討している場合には、不動産一括査定を活用し、最適な条件での売却を目指しましょう。
相続不動産売却の基礎知識
不動産売却の流れ|6ステップで不動産売却の流れを把握
不動産売却の流れを全く知らない人でもわかるように、不動産売却の全体の流れを売主の視点で6つのステップに分けて解説。
不動産売却は、ほとんどの方が不動産売却が初めてという方が多いと思います。不動産売却の流れや知識がないまま進めることに不安になることもあるでしょう。
不動産売却は、以下のように①不動産仲介会社に売却相談・査定依頼、②売却を依頼する不動産仲介会社と媒介契約を締結、③不動産の販売活動を開始、④不動産売買契約を締結、⑤不動産物件の引渡し・決済、⑥不動産売却の確定申告の6つのステップで進んでいきます。
不動産売却の流れの全体像
不動産の売却にかかる期間は3ヶ月~6ヶ月程度です。
それぞれの5つのステップについて、解説していきます。
STEP1:不動産仲介会社に売却相談と査定依頼
不動産売買の仲介を行っている会社に売却相談と売却価格の査定の依頼をします。
関連記事:不動産売却の簡易査定と訪問査定の違いとは?失敗しないための完全ガイド
STEP2:不動産仲介会社と媒介契約を締結
不動産売買の仲介会社を選んだら、売主と不動産仲介会社との間で媒介契約を結びます。
STEP3:不動産の販売活動を開始
媒介契約締結後、不動産仲介会社が不動産の売却活動を開始します。
STEP4:不動産売買契約を締結
買主が決定したら、不動産仲介会社が「買主の住宅ローン事前審査」と「不動産の最終調査」行い、不動産売買契約を締結いたします。
STEP5:不動産物件の引渡し・決済
売買契約で定めた期日で決済と引渡しが行われます。
売主・売主側仲介業者・買主・買主側仲介業者と司法書士の五者が、買主が住宅ローンの融資を受ける金融機関に集まって契約手続きするケースが多いです。
STEP6:不動産売却の確定申告
売主は不動産売却によって得た利益にかかる税金を納付するために売主は確定申告を行う必要があります。
時期は毎年2月中旬~3月中旬までに行います。
不動産売却の流れについて詳細は以下のコラムをご覧ください。
⇒不動産売却の流れを図解|査定・契約・決済のスケジュール
不動産売却の媒介契約の種類
不動産売却を依頼する仲介会社を選んだら、売主と不動産仲介会社との間で媒介契約を結びます。
媒介契約の種類と比較
媒介契約とは、売却が成立したときの不動産仲介会社に支払う報酬額や販売活動方法を取り決める契約です。
媒介契約は①専属専任媒介契約、②専任媒介契約、③一般媒介契約の3種類あります。
売却する不動産物件やご自身の状況をもとに媒介契約の種類を選択しましょう。
以下、媒介契約の特徴をご参考にしてください。
①専属専任媒介契約
媒介契約を締結できる不動産仲介会社数…1社
買手を自分で見つけた場合の仲介手数料…必要
指定流通機構レインズの登録…義務
販売活動の報告頻度…1週間に1回以上
②専任媒介契約
媒介契約を締結できる不動産仲介会社数…1社
買手を自分で見つけた場合の仲介手数料…無
指定流通機構レインズの登録…義務
販売活動の報告頻度…2週間に1回以上
③一般媒介契約
媒介契約を締結できる不動産仲介会社数…複数可
買手を自分で見つけた場合の仲介手数料…無
指定流通機構レインズの登録…任意
販売活動の報告頻度…任意
※ポイント
①専属専任媒介契約、②専任媒介契約は販売活動を依頼する不動産仲介会社の数が1社と制限されます。
①専属専任媒介契約は買手を自分で見つけることもできますが、仲介手数料を不動産仲介会社に仲介手数料を支払う必要があり、実質的に自分で販売活動することを制限されています。
※注意点
あとからもめないように媒介契約を結ぶ際に、把握している建物の雨漏りや周辺の騒音等、売却する不動産の状況を報告書(告知書)を記入しましょう。また、建物の設備等の内容や設備の故障を明記する付帯設備表という書類に記入しましょう。
不動産売買の仲介手数料の計算式【簡易計算式】
不動産売買の仲介手数料のわかりやすく簡易計算式での計算方法を解説していきます。
①不動産売買価格400万円以上
⇒不動産売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税
②不動産売買価格200万円以上400万円未満
⇒不動産売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税
③不動産売買価格200万円未満
⇒不動産売買価格(税抜)×5%+消費税
※低廉な空き家の仲介手数料
⇒上限30万円(税抜)+消費税
※売主が宅建業者の場合は、建物の価格に消費税が掛かります。
その場合は不動産売買価格から消費税額を除いた金額を元に、不動産売買の仲介手数料を計算します。
不動産売却の流れや不動産仲介手数料の費用を把握したら、次は複数の不動産仲介会社に査定の依頼をしましょう。
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